大学入試改革から考える中学入試について

 明治以来といわれる大きな教育改革が進んでいる。
「高校教育→大学入学者選抜→大学教育」を一体的に改革する「高大接続改革」と呼ばれているもので、今の中学1年生が高校3年生になる2020年度の大学入試が切り替えのタイミングとなる。明治以来、と多少大袈裟に思える表現の肝は、大学入学者選抜すなわち大学入試にある。
これまで、小中高で新しい学力観への転換が唱えられても、大学入試は知識重視のペーパーテストによる選抜をおこなってきた。実は「ゆとり教育」というキーワードで知られる2000年代の教育改革も、根底にあったのは、「知識や技能」中心の学力ではなく「思考力や問題解決能力などを重視し、生徒の学力を伸ばす」という新しい学力観だった。
知識重視の詰め込み教育から、学習時間と内容を減らして、ゆとりある経験重視型の教育に変えるというものが目指す姿であった。
ところが、前述の通り大学入試においてはそうした転換はなく、また、「ゆとり」という言葉もマイナスに働いたことにより、受験市場においては首都圏や関西圏中心に、「ゆとり教育に突き進む公立校」よりも、大学入試を見据え柔軟にカリキュラムを組み「進学実績のある私立中高一貫校」が人気を高めてきて今に至る。
そしてこのたびの教育改革である。大学入試自体が大きく変わることにより、中高の教育プログラムも変わらざるを得ない。ニューヨーク州立大学大学院のキャシー・デビッドソン教授は「今の子供たちの65%は、大学卒業後、今は存在していない職業に就く」と言い、また、オックスフォード大学のマイケル・A・オズボーン准教授は「今後10~20年間で約47%の仕事が自動化される」と言っている。
文科省は、このような変化の時代に対処する能力として、基礎基本の暗記に加え、様々な課題に対して自ら主体的に取り組み、自ら解決する能力を発達段階にある子どもたちに育み、社会で生きていける力を付けていくことを目指すとしている。そうしたタイミングでの開邦・球陽という公立トップ高の中高一貫校設立である。球陽に関しては、開設を1年前倒しにしたと聞く。今回の教育改革がその決定に少なからず影響したことは想像に難くない。
沖縄の子どもたちの現状として、国公立大学進学率が全国最低、全国学力テストで中学生は全国最下位となっている一方で、小学生は全国20位と昨年よりもさらに順位が上昇しているという結果がある。「やればできる」「最大瞬間風速の強い沖縄の子どもたち」小学生と中高生のギャップを見るとそんなことを考える。今回の開邦・球陽の公立中高一貫化で子どもたちの学習機会選択の幅が広がることは間違いない。「中学受験は親の力」とも言われる。保護者の皆様がお子様の将来のために必要な情報収集をして、適切な選択判断をされることを強く願う。

小倉拓馬
全国1800以上の学習塾・学校で開講中の「みんなの速読」を始め、英語長文読解トレーニング「速読英語」やオンライン英会話「MEET the WORLD」、エデュケーショナルネットワーク社の教材等、学習塾・学校向けの各種商材を扱う株式会社SRJ沖縄支社勤務。日本速脳速読協会認定インストラクター。