1.はじめに
「私は、見た通りデブだ。メタボだ。そして、晩年は、お坊さんを目指している。だから、『メタ坊主』、今日のメタバースのお話は、・・・」こんな切口から、昨年2024年、1月下旬、長野県学輪IIDAで講演した。それを大学に報告したら、今年度4月から「メタバースを利活用した社会教育の方向性」というテーマで、プロジェクト研究予算がついた。嬉しかった。
図1.学輪IIDA
2.学会活動(国際会議・全国大会・九州部会)とメタバースセミナー
今年度、私の研究活動は、icicic2024(18th International conference on Innovative Computing Information and Control、国際学会)で1本、実践経営学会の全国大会で1本、SOFT九州部会(日本知能情報ファジィ学会九州支部)で1本、と論文報告した。
そして、実務としては、12月、1月、2月、と、月1回のペースで、メタバースセミナーを開催。在宅就労支援ホープ光の森・福岡(https://hopewithwork.co.jp/)とのご縁だ。その際、利用者さんから一番多い質問は、メンタルに関するものだった。

3.メタバースセミナーから読み解く『メタ思考』のとらえ方
メタバースセミナーでは、教室全体を俯瞰する目線だ。この全体を俯瞰する、という視点が「メタ思考」である(図3。澤円『メタ思考』2023年)。
また、社会科学では、アフォーダンス理論という考え方がある。これは、目にうつる風景が思考や理論に影響を与えるというもの。たとえば、江戸時代では、林羅山が上下定分の理、を提唱する。これは、自然に上下の区別があるように、人間社会にも、上下の身分差があると、考える。しかし、沖縄では、上下定分の理は成り立たない。沖縄は、水平線ヨコ一線の海しか、見ることができない。それが、イチャリバチョデー(寄り添えば兄弟)的な、水平思考につながる目線だ。
そして、メタバース上で、俯瞰する力が養われたら、どんどん、どんどん、自分を俯瞰する。日本全体、地球儀全体、そして、最後は、宇宙全体を俯瞰する。私が言いたいのは、たとえばだけど、飛行機から見る景色は、地上の空間で言えば小さくて、そして、地平線にひろがる景色は広い。そんな中で私たちは生命と身体を与えられている。私はまず感謝の念が生まれる。紛争地ではなく日本に生まれた感謝。その中でも沖縄で生まれた感謝。
話は変わる。武道の世界では、遠山目付、という考え方がある(宮本武蔵『五輪の書』)。遠くの景色を近くに見て、近くの景色を遠くに見る。これを極めた際、現に、柔道の柔(谷亮子)さんは、自分が柔道をしている姿を空から俯瞰できた。そして、金メダルを獲得した。
われわれの身体は小さな宇宙(ミクロコスモス)で成り立っている。そして、身体を取り囲む壮大な宇宙(マクロコスモス)との間に対応関係がある。宇宙における人間の位置や目線(思考)は、身体の宇宙性からマクロコスモスに働きかけて、独自の思想的地位を得る。その受け皿、器、こそ、メンタルであり氣質である。前向きに、そして、プラス思考で生きていきたい。

儀間 敏彦(ぎま としひこ)
東海大学 教授 湘南キャンパス教育開発研究センター所属 那覇市出身
図2 ぎまとしひこのホームページ
(https://richardgima.com/)
