みなさんは「数学って将来何の役に立つの?」と思ったことはありませんか。
計算の練習をしていると、そんな疑問が浮かぶこともあるでしょう。
でも数学の本当の魅力は、テストの点数を上げることだけではありません。
数学は、過去と未来、学問と学問、そして人と人とをつなぐ力を持っているのです。
まず、数学は過去と未来をつなぐものです。
たとえば2000年以上前、古代ギリシャの数学者たちは三角形や円の性質を調べていました。
その成果は、現代のAIや宇宙開発の研究にもつながっています。
昔の人たちが生み出した「考え方」が、今も新しい発見や技術の土台になっているのです。
数学の定理は時を越えて生きつづけます。
つまり、私たちが勉強している数式は、歴史を越えて未来へと続く「知恵のバトン」なのです。
次に、数学は学問と学問をつなぐ架け橋でもあります。
一見まったく違うように見える世界が、数学を通すと同じ姿で現れることがあります。
たとえば海の波と音楽のリズム、電気信号はすべて「波」という共通の形で表せます。
私の研究分野でも、くみひもと物体の運動を表す微分方程式という一見関係なさそうな世界が深く結びついています。
この「違うものの中に共通点を見つける力」こそが、数学の魅力です。
数学は、新しい発見や学問どうしの出会いを生み出す道具なのです。
そして最後に、数学は人と人とをつなぐ力を持っています。
私は海外で研究発表をしたとき、数式を使えば世界中の研究者と議論ができると実感しました。
使う言葉が違っていても、住んでいる国がが違っても、「数学」という共通のことばで話せるのです。
これは数学のすごいところです。
だから私は、数学は世界をつなぐ道具だと思っています。
みなさんも、数学を学ぶことで過去と未来を結び、違う世界を見渡し、世界中の人とつながることができます。
教科書の中の数字や公式の向こうには、広い世界が待っているのです。
ぜひ、過去・現在・未来の人々に思いをはせながら数学を「世界をつなぐ架け橋」として楽しんでみてください。
10月11日には、沖縄、そして日本の数学や科学が好きな仲間を見つけられる「おきなわ数学まつり」を琉球大学で開催します。
ボードゲームなど楽しく遊べる場所もありますので、ぜひお気軽にご参加ください。
根上春(ねがみはる)
誰もが数学を楽しめる空間をつくることを目指すNPO法人「数学カフェ」の代表理事。
現在は組紐を使った数学の研究をしています。

NPO法人 数学カフェ

境界なき数学コミュニティ Math Community without Boundary
所属組織、居住地、性自認、性指向、体調、国籍など様々な境界を取り払って誰でも
数学を楽しめる場所を作っています.

https://mathcafe.net/