~激動の時代を乗り越えて生き残る学校の条件と学校選び、理想の新しい学校づくり~

急速な少子化による受験人口の大幅減少に加え、通信制高校の生徒数が伸びています。学校が限られた数の受験生を奪い合う構図が顕著になりつつあります。地方では学校存続の危機が迫っています。生き残れる学校と淘汰される学校の分岐点はどこにあるのか。今回は、30年にわたり、昭和薬科大学附属高等学校・中学校、大妻中学高等学校、Z会映像コース等で大学受験指導に携わり、東京学芸大学大学院教育学研究科(教職大学院)で学校経営、学校組織マネジメント、「学習する組織」を研究し、2025年度から北海道の札幌日本大学中学校・高等学校及び東京都の明星中学校・高等学校で学校経営、学校改革、先端教育をリードする森弘達先生が学校経営の視点から生き残る学校の条件と学校選びについて読み解きます。

~30年間の進路指導・大学受験指導から伝えたいこと~

日本は少子化の進行により大学全入時代に突入しています。一方で、東京大学をはじめとする国内のトップ大学、医学部医学科、オックスフォード大学をはじめとする海外のトップなどの最難関大学の人気は根強いものがあります。今回は、30年にわたり、昭和薬科大学附属高等学校・中学校、武蔵野大学附属千代田高等学院、大妻中学高等学校、Z会映像コース、静岡県のトップ公立・私立高等学校の難関大学進路指導支援等で大学受験指導や探究教育、学校改革に携わり、東大合格者100名以上、医学部合格者1000名以上、海外トップ大学合格者を指導、東京学芸大学大学院教育学研究科(教職大学院)で学校経営、学校組織マネジメントを研究、2025年度から札幌日本大学中学校・高等学校副校長及び明星中学校・高等学校特別顧問として、学校経営や学校改革、先端教育をリードする森弘達先生が国内トップ大学・医学部・海外トップ大学の魅力と受験について読み解きます。森弘達先生が副校長として学校改革を進めている札幌日本大学中学校・高等学校は2026年度からSAコースに東大・医進・サイエンスプログラムを新たに開講することを発表し、受験生・保護者・塾からその教育内容に期待と関心が高まっています。

国内トップ大学の魅力

国内のトップ大学は、様々な指標やランキングによって異なりますが、ここでは、東京大学、京都大学、北海道大学、東北大学、名古屋大学、大阪大学、九州大学、東京科学大学、一橋大学、神戸大学の難関国立10大学とします。国内トップ大学の魅力は数多くあります。まず、難関の入試を突破してきた力の高い学生が集まっていて、知的好奇心が旺盛な仲間に出会えること。また、社会からの注目度が高いことが、自己を高めようというモチベーションのアップにつながります。当然、教育への配慮が行き届いており、教授陣の研究レベルが高く、常勤教員の数も多く、予算・施設・設備も充実しています。こうした国内のトップ大学のレベルの高さは、卒業生がさまざまな分野の第一線で活躍している事実が証明しています。 さらに、国内のトップ大学は海外のトップ大学を意識していて、世界に通用する人材の育成を図っています。もちろん、海外のトップ大学や大学院への留学制度や進学制度が充実していますし、海外のトップ大学からの留学生が多く、グローバルな活動も可能です

国内トップ大学に合格する受験生像

私は30年にわたり、大学受験指導を行ってきました。その中で国内のトップ大学に合格した生徒の多くは、知識・技能を着実に身に付け、それを活用して考えることができ、高い思考力・判断力・表現力を有し、主体性を持って多様な人々と協働して学ぶ態度を有する者でした。また、国内のトップ大学に合格する生徒に多く見られる共通点を挙げておきます。

① 自分勉強法を確立したうえで、自ら学習計画を立て、それを実行できる。

②授業や課外活動をおろそかにしないで、充実した学校生活を送っている。

③受験勉強を理由にして家族、先生、友人などとの人付き合いを極端に減らすことなく、人間関係を大切にする。

④授業や模試の復習など、その日のうちにやるべきことは必ずその日のうちにやる。

⑤短い細切れの時間(スキマ時間)を有効に活用することができる。

⑥受験勉強に直結しなくても、書籍や新聞を読むなど、さまざまなことに関心を持って知的刺激を求める。

⑦模試の判定に一喜一憂せず、あくまで志望校の合格を目標に据えて努力する。

⑧国内のトップ大学は、二次試験や個別試験が重視されるが、第一関門となる大学入学共通テストの対策を怠らない。

⑨各教科・科目の勉強時間や勉強量のバランスがとれる。

⑩適度に運動し、音楽を鑑賞するなどストレスを溜め込まない、

などです。

国内トップ大学に合格する学習方法と学習計画

国内のトップ大学を目指す場合、どのような方法と計画で学習を進めればいいでしょうか。年間の学習計画を立てる際に重要なことは、まず、大学の過去問を見て、出題されている分野・レベル・形式・解答時間・方法などを把握することです。そのうえで、とにかく8月までに全教科・科目の基礎・基本事項を完全にマスターしておくことが重要です。目標は、教科書の内容を完全に理解することです。最初から難しい問題を解く必要はありません。基礎・基本を繰り返すことが9月以降の応用力の伸びにつながります。9月以降は、大学別過去問題集や大学別実践問題集、通信添削教材などを利用して二次試験・個別試験の対策をスタートします。実践対策としては、夏と秋に実施される大学別模試を受験することをお薦めします。問題を解答する手順、時間配分、解答用紙の使い方など、各大学の入試本番をシュミレーションすることができます。大学入学共通テストの直前対策もしっかりと行ってください。共通テストは、課題文の分量や資料が増えていることから、より高い情報処理能力が求められます。それに加えて、思考力・判断力を問う出題が増えていることからも解答手順、時間配分にも注意が必要です。試験本番までに最低でも共通テストの過去問5か年分と予想問題2回分は、時間を計って練習しておく必要があります。共通テスト後は、最後まで気を抜くことなく、二次試験・個別試験に向けて答案作成力を高めてください。特に国内のトップ大学の出題形式は、記述・論述であり、単なる知識・技能だけでなく、思考力・判断力・表現力が求められます。大学別過去問題集や大学別実践問題集、Z会等の通信添削教材を活用すること、学校や塾・予備校の先生に添削指導をお願いするなどして、記述・論述の答案作成力を高めてください。全問完答を目指す必要はありません。原則として、総合点で合格点に達することを目標に、各教科・科目でそれぞれ何点取るべきかを割り振り、二次試験・個別試験に向けた勉強時間を効率よく配分することが大切です。国内のトップ大学といっても、大学別模試の結果や日頃の学習から冷静に自己分析を行い、それをもとにしっかりと学習計画を立て、着実に実行することによって、誰にでも合格するチャンスはあり、合格可能性を高めることができます。読者のみなさんもぜひ国内のトップ大学に挑戦してほしいと思います。

医学部に合格する受験生像、指導経験と医学部受験アドバイス

私は、これまでに1000名以上の医学部受験生を個別指導したり面談指導したりしてきました。また、現在も医学部受験生を指導しています。指導経験から医学部合格者には次のような生徒が多いことがわかりました。読者のみなさんも参考にして受験勉強に取り組んでください。①志望動機がしっかりしている。②学力は絶対条件なので、学力が高いことは言うまでもないが、それ以上に「やりたい事」が明確である。③高いコミュニケーション能力と思いやりの心を持つ。④挨拶をする。時間を守る。体調管理ができる。そして、体力と精神力が高い。⑤自ら学習し、行動する力とそれを持続する力を持つ。さらに、週35時間以上の自学自習は必要であり、その時間を確保するためにタイムマネジメントを行うことが必須となります。

海外のトップ大学の魅力と学ぶ意義

海外のトップ大学の魅力と学ぶ意義は、優秀な教員・学生、充実した施設だけではありません。主なものを次の10点にまとめました。

① 質の高い教育

②グローバルな視野

③豊富なリソース

④強力なネットワーク

⑤自由な学び

⑥充実した課外活動 ⑦高い国際的な評価

⑧イノベーションと先進的な研究

⑨充実したキャリア支援

⑩学びの多様性

海外のトップ大学に合格するために必要なこと・もの海外のトップ大学への合格は、東京大学や京都大学などと比べても難関でありますが、偏差値よる合格基準はありません。まず、英語力はTOEFL(100+)、られます。他に進学適性テストであるSATやACT(近年、利用しない大学が増えている)、願書(コモン・アプリケーション)、成績証明書(評定平均は5.0に近い成績が求められる)・卒業証明書、推薦状(起業やNPOを立ち上げるなどの圧倒的な課外活動実績が求められる)、エッセイ(英語で数千語)、財政能力証明書が必要です。

札幌日本大学中学校・高等学校「東大・医進・サイエンスプログラム」の取り組み

私が副校長として学校改革を推進している札幌日本大学中学校・高等学校は、2026年度から東京大学・京都大学・東京科学大学等の最難関大学、北海道大学・札幌医科大学・旭川医科大学等の国公立・私立大学医学部医学科の合格を目指す「東大・医進・サイエンスプログラム」を新中学1年対象に規開講し、新中学2年・新中学3年・新高校1年対象にも同時開講予定です。最難関国立大学や国公立・私立大学医学部医学科への合格を目標とし、基礎学力の徹底、最難関大学受験指導と未来創造・SSH・MLPなどの探究的学びを融合させ、未来の科学者・医師・研究者・技術者を育成するSAコースの新プログラムです。

プログラムの特長は次の7点です。

札幌日本大学中学校・高等学校「東大・医進・サイエンスプログラム」

(1)放課後必修講習・個別添削指導

・英語・数学・国語・理科などの放課後必修講習(週3~5コマ予定)、大学受験期の個別添削指導、医学部小論文・面接指導など

(2)長期休暇必修講習・個別添削指導

・春・夏・冬に集中講習を実施し、発展的な学習と入試基礎力を強化、大学受験期の個別添削指導、医学部小論文・面接指導など

(3)首都圏難関大学ツアー

・東京大学・東京科学大学・研究機関などを訪問し、学びの動機付けと進路研究を深化、専門家や大学生・大学院生・卒業生との交流

(4)専門講座の受講

・医学・医療講座:研究者・現役医師・医学部生による講義・実習

・サイエンス講座:研究者・技術者による先端科学の講座

・SNUスーパーアカデミア:国内外の各分野の第一線で活躍する専門家を招聘する知の最先端・最前線の「超一級の特別講座」

(5)東大スタディコーチとの提携・東大生による学習コーチング・メンタリング、学習習慣と進路意識を確立

(6)SNUスタディコーチ

・札幌日大卒業生(北海道大学や札幌医科大学など)による学習コーチング・メンタリング

(7)難関大学向け模擬試験の受験と振り返り

・駿台模試・河合塾全島模試・ベネッセプロシードテスト・Z会アドバンストテスト・大学別模試・医学部模試などの受験と振り返り、徹底した学習成績管理

≪参考≫ 国内・海外のトップ大学受験や医学部受験に関する参考文献・推薦図書・推薦番組

●尾澤章浩・向井彩野『米国トップ大学受験バイブル』(PHP研究所)

●森弘達「-連載-森弘達先生と読み解く教育改革最前線」『ジュクタン』バックナンバー(カフーブランディング)

●森弘達YouTube番組『教育プロデュース・チャンネル』(モノリス・ジャパン)森 弘達(もり ひろたつ)先生2025年4月から学校法人札幌日本大学学園札幌日本大学中学校・高等学校副校長・吹奏楽部スーパーバイザー、学校法人明星学苑明星中学校・高等学校特別顧問・明星大学学友会吹奏楽団教育連携コーディネーター・明星アカデミックウインドオーケストラ指揮者。学校法人電子学園iU情報経営イノベーション専門職大学客員教授、特定非営利活動法人ロジニケーション・ジャパン副理事長、国際バカロレアディプロマプログラム(IBDP)アドミニストレーター、シュピール室内合奏団アドバイザー、沖縄探究ラボ所長・森教育研究所所長。東京、北海道、沖縄を拠点に全国で教育活動を展開。著書に『ハイスコア!共通テスト攻略現代社会』(Z会)、『特化型小論文チャレンジノート志望理由・自己PR編』(第一学習社)、探究教材『FUTURE』volume.1・2・3・小学生版(SRJ)など多数。『私教育新聞』連載。モノリス・ジャパンのYouTube番組『教育プロデュース・チャンネル』に出演。コロナ禍でも自ら学びを進め、学校図書館司書教諭の免許取得、学校法人東京音楽大学指揮研修講座修了。国立大学法人東京学芸大学大学院では学校経営、学校組織マネジメント、学習する組織、私学経営等を研究し学位を取得。公立大学法人名桜大学、学校法人都築学園、学校法人明星学苑、学校法人札幌日本大学学園において、FD研修や教職員研修の講師を務めた。学校法人昭和薬科大学附属高等学校・中学校教諭・進路指導部主任・生徒指導部主任・高校3学年主任・吹奏楽部顧問・ディベート部顧問、学校法人武蔵野大学附属千代田高等学院副校長、学校法人大妻学院大妻中学高等学校主幹・進路指導部長・探究科主任、Z会映像コース講師、沖縄県沖縄次世代委員会委員(沖縄県知事委嘱)、浦添市未来まちづくり委員会委員(浦添市長委嘱)、浦添市てだこ市民大学運営委員・講師(浦添市長委嘱)、浦添市まちづくり生涯学習推進協議会委員(浦添市長委嘱)、税務大学校沖縄研修支所講師、一般財団法人日本私学教育研究所研究員、大前研一創設特定非営利活動法人政策学校一新塾講師、沖縄県吹奏楽連盟理事、国分寺市介護保険運営協議会委員(国分寺市長委嘱)、国分寺市高齢者保健福祉計画・介護保険事業計画評価等検討委員会委員(国分寺市長委嘱)等を歴任。