昭和薬科大学附属高等学校・中学校ディベート部は7月の九州大会で中高ともに入賞し、今年も中高揃って全国大会に進むことができました。九州大会では大会中もっとも良い試合をしたチームに贈られる「ベストゲーム賞」を中学、高校ともにいただくことができました。今回は中学ディベート部員が座談会を行った様子を記事にしています。彼らがディベートについて話す等身大の魅力を味わっていただければと思います。

中学ディベート部
第1回政策提言型パブリックディベート全国大会出場
第29回九州地区ディベート選手権大会第四位 ベストゲーム賞
第29回全国ディベート選手権大会出場(2大会連続14回目)

記事作成および座談会参加者
中2大城舞桜 中2松隈一希 中2伊藝凜 中2又吉まはな
中2譜久山三玲 中3新崎奏人(座談会のみ)

入部のきっかけ

かなと 最初に、みんながディベート部に入った理由やきっかけを教えてください。
みれい 私は、小学生の時に薬科のホームページを見て、ディベート部の活躍が目に入って気になっていました。中1の時に実際に体験に行って、説明を受けてめちゃくちゃ面白そうだなと思って入部を即決しました。
りん そもそもディベート部って他の学校とかでは聞かないような部活なので、ディベートってどんなことするんだろうと思いました。それでYouTubeなどで検索をかけたら、ディベート甲子園といわれる大きな大会の動画が出てきて、それを見て面白そうだと思ったので、ディベート部に入りました。
まはな 私は中学で部活に入る気はあまりなかったんだけど、二つ上の兄が薬科のディベート部に入っていて、いつも「部活が楽しい。」と言っていたので、私も興味を持って入部しました。
まお 私は、友達に誘われたことがきっかけです。先輩が試合をしているのを見て、かっこいいなと思って入りました。
かずき 僕も友達に誘われたことと、沖縄では薬科にしかディベート部がないので、せっかくだからやってみたいと思って入りました。
かなと 入学前からディベート部を知っていた人もいるし、薬科にきてから知った人もいるんですね。

大会で担当したステージの魅力

かなと 先月、ディベート甲子園の全国大会が終わりましたが、みんなが今年担当したステージの魅力とか今後やってみたいステージについて紹介してください。
まお 私は今年立論、応答を担当しました。立論を初めて聞いた人が聞きやすいように読む練習をしたり、相手から質問された時に自分の言葉で説明ができるようにいろんな質疑を想定して応答を準備したりしていました。自分たちが立論で言いたいことをしっかり伝えて、相手の質疑にきちんと応答するのが大変でした。
かなと 自分がわかるだけじゃなくて、意外なポイントを突いてくる相手の質疑にきちんと応答するのは大変ですよね。僕は今年質疑を担当してたけど、質疑の良いところは相手と直接コミュニケーションを取っているって感じるところです。一方的に主張するのではなくて、相手と論理的に会話をするというすごい新鮮な感覚です。他の人はどうですか?
りん 私が担当した第一反駁は一番初めに相手の立論にアタックができるから、そこが楽しいです。自分の反駁で相手の立論の論証とかが切れたり、崩れたりするのが面白いです。
みれい 私は第二反駁を担当していました。よく、ディベートって何?って聞かれたら必ず『第三者を説得する形で』っていう文言が入るじゃないですか。二反の仕事って、それまでの議論で決着がついてない部分にジャッジが納得するように自分たちが優っているっていうアピールをすることなんですよ。そこが一番ディベートらしくて好きです。
かなと 他の二人は今シーズン試合には出ていないけど、いろんな試合を見て今後自分がやってみたいステージってありましたか?
まはな 質疑か一反ができたらかっこいいなって思います。りんさんも言っていたように、相手の立論を崩すのが楽しそうです。今年の大会では他の学校の試合のフロー(議論のメモ)をたくさんとっていたけど、フローターはいろんな学校の試合とか聞けるので楽しいです。フローをとりながらジャッジの反応をみていると、ジャッジそれぞれが違う反応してて、面白いなと思います。
かずき 僕は二反をやってみたいです。決着のついてない議論に、自分のスピーチでジャッジを説得できるのが面白そうだなって思います。
かなと どのステージもそれぞれ役割や面白さがあって、結局はみんなで議論をつくっていくのが醍醐味だし、同時に難しいところですよね。
やってみたい論題

かなと ちなみに、今年は「国政選挙におけるインターネット投票を導入すべきか」っていう論題だったけど、面白そうな論題とかやってみたい論題ってありますか?
みれい 私は『死刑制度を廃止すべき』っていう論題をやってみたいです。世界で死刑が廃止されてる国がたくさんあって、その中で日本がずっと死刑を続けてる理由が気になるし、死刑がなくなったらどういう方法で被害者遺族の気持ちが報われるのかっていうのがすごい気になるからやってみたいです。
まはな 私は『安楽死を認めるべき』っていうのが気になっています。私は家族の影響で医療関係のことに興味があるっていうのもあるけど、たとえば、患者さんが病気で苦しんでしまって、これ以上生きる希望が持てなくなった時に、医療って何ができるんだろう、って考えたことがあって、その時はどうしても答えが出せなかったから、この論題については勉強してみたいなと思う。
かずき 僕自身が実際にやってみたいというか、『刑事事件における実名報道を禁止すべき』っていう論題の試合を聞いてみたいなって思います。犯罪者だからって実名報道していいのかなって思うし、実名報道があるから犯罪の抑止力になってるのかなというのと、加害者、被害者それぞれの人権が実際にどうぶつかるのか、とても気になります。
かなと ディベートの論題って、実際の社会でも問題となる公共性の高いものを扱うことが多いからプレパ(試合の準備)だけでも勉強になるし、いざやってみるとどれもやっぱり難しいですよね。

ディベートの準備と学校の勉強

かなと ディベートのプレパができたら学校の勉強って簡単に思えるけど、ディベートのプレパと学校の勉強の違いって何ですか?
まはな ディベートは自分で考えて調べて、それで調べた事実が自分の考えていたことと違ったら、そこからまた考えて…って感じで自分で考えることが多いような気がします。あと、周りの人と話し合うことが多いっていうのも学校の勉強と違うところかなあ。学校の授業は、先生が話したことを聞いてとりあえずノートにまとめることが多くて、上からやれって言われたことをしている感じがします。ディベートは自分がやりたいことをやっているみたいな。
かなと みんなはどうですか?
みれい 結論はまはなさんと同じかもしれないけど、私は受動的にやっているか、能動的にやっているか、っていうところが大きい、と思っていて、ディベートだからっていうより、ディベートの方が能動的に取り組む機会が多いか少ないか、っていう感じがします。
りん 学校の勉強は教えられたことを覚えたり、覚えたことを元に問題を解いたりすると思うんですけど、ディベートの準備は一から自分たちで論題について調べて、その情報をもとに論題を導入した世界がどうなるのかを自分たちで論証するから、学校の勉強よりも、自分たちで考えることが多いのが大きな違いかなと思います。
かなと 能動的にやりたいと思っているのがたまたまディベートのプレパってことですね。

ディベートは誰でもできる?

かなと ディベートは、やろうと思えば誰でもできるものですか?
まお ディベートが好きなら誰でもできるようになると思います。
りん 同じ練習量でもできるようになるまでにかかる時間はもちろん個人差があると思うんですけど、まおさんも言ってたようにディベートが好きで、スピーチができるようになりたいと思って真剣に練習して、試合を重ねればできると思います。
みれい 私は思うようにスピーチができなくて悔しい思いをすることがよくあります。その時に「絶対に上手になってやる!」と強く思えれば、反省をいかして確実に上手になると思います。上手くできなかったからといって投げ出さずに練習を続ければ、いつかできるようになります。

みんなの目標

かなと  みんなの技術面での目標はなんですか?
みれい 目標は全部のパートできちんと喋れるようになることと審判の心に響く二反が出来るようになりたいです。
りん ジャッジが聞きやすいスピーチをすることと試合できちんと論点をしぼってなるべく私のスピーチで決着がつけられるようになりたいです。
まお 今年は主にみれいさんとりんさんが作った立論を読んでいたので、自分でも良い立論を書けるようになりたいです。あと、質疑や反駁も出来るようになることと自分で立論がかけるようになることが目標です。
かずき オフシーズンの間に練習試合などを通してスピーチの練習をして、試合で喋れるようになることです。そして来シーズンは反駁を担当したいです。
まはな 次の大会ではもっとディベートのスキルを上げて、質疑か一反をしたいです。私はまだ人前で頭が真っ白になってしまうことがあるのでそこも改善したいです。
かなと  今日はいろいろ話ができてよかったです。また第二弾もやりたいですね笑 ありがとうございました。

 ※1 ディベートは、ゲームとしての公平性を保つためから、スピーチの順番・役割などが決められています。ディベート甲子園は、原則として、立論・質疑・第一反駁・第二反駁で構成されます。
※2 ディベートの一般的な定義:「ある特定のテーマの是非について、2グループの話し手が、賛成・反対の立場に別れて、第三者を説得する形で議論を行うこと」

昭和薬科中高ディベート部に興味がある方は、下のリンクから公式Xをご覧ください!DMも受け付けています。

https://x.com/shoyakudebate