「辺野古」県民投票の会 代表 元山仁士郎さん
那覇市泉崎にある大学受験予備校『グレイトヴォヤージュ』(以下GV)は、ただの予備校ではない。予備校でありながらゴールを大学合格とせず、その先の未来まで繋げる場所。沖縄県内外で活躍する様々なロールモデルを見せることで、将来の選択肢の多さに気づかせ夢を抱いた生徒には、それを叶える為の力を貸す場所である。今回のゲストは「辺野古」県民投票の会代表、元山仁士郎さん。
抗議運動を斜めから 見ていた高校時代
大岩「では自己紹介をお願いします」
元山「1991年生まれ、宜野湾市出身です。小中は琉大附属、高校は普天間高校でずっと野球をやってきました。大学は浪人して国際基督教大学(ICU)に行き、卒業して現在は一橋大学の修士課程に在籍しています」
大岩「大学院を出たあとはどうする予定ですか?」
元山「実はこの4月から県民投票をやりながら論文を書く予定だったのですが、これは厳しいなと思って今は大学院を休学しています。来年3月までは基本的には沖縄にいて、4月からは東京に戻って修士論文を書くことになります。その後は博士課程に行くか、一旦就職するという選択肢もあるかなと思っています」
大岩「県民投票をやろうと思ったきっかけは何ですか?」
元山「実は去年の11月までは県民投票のけの字もなかったんです(笑)。大学の時に非常勤で教えに来てくれていた先生と久しぶりにお話する機会があって、今が沖縄の政治や社会を考える上でターニングポイントになりそうだなと思ったんです。沖縄戦の経験者もあと10年もすればゼロになると思いますし、終戦後に復帰運動などを経験した世代もどんどん減っています。その後も少女暴行事件とか色々ありましたが、行動して自分たちで何かを勝ち取ってきたという共通の体験を持たない世代が増えてきています。基地や社会問題とどう関わっていくべきかを考えた時に、県民投票は賛成反対ではなく、自分の意思を示せるのでハードルが低い。これを軸に今後沖縄の政治や社会をみんなが考えていけるのではと思ったのが県民投票をやろうと思ったきっかけです」
大岩「今って世代で政治に対する意識がずいぶん違いますよね。政治は身近なことと関わってくるはずなのに、若い人たちは政治に対して関心を持てないし、距離感がわからない」
元山「僕は小学校の頃、基地の中の英語教室に通ってハロウィンパーティなど異文化体験を楽しんでいて、むしろ憧れを思っていたくらい。高校時代は通学路で抗議活動をしている人を斜めからみている感じでした。でも、東京に出て普天間の話を聞かれて何も答えられないのが恥ずかしくなって。基地について勉強し始め、デモにも参加するようになりました。その後、新聞やネットで取り上げられるようになって、沖縄の友達から心配されたり基地関係の仕事をしている親戚から俺の仕事をなくすなと冗談で言われたり、沖縄で活動するのは正直しんどかったです。でも将来的に基地は縮小したほうがいい、なくなった方がいいと思うので続けてきました」
大岩「沖縄は基地問題について考える機会が与えられているのに、人間関係を壊したくないから、出来るだけ政治の話をしないという傾向がありますね。でも僕はフランクに話せるような機会を作りたいので、GVでめっちゃ政治の話をします。ただし、一方的な見解を述べるのではなく多様性や他の意見の余地を残した話し方をします。今はネットから好きな情報だけを吟味し、違う意見を持つ人とは話さない状況なので、議論する場を作りたいと思っています。学校もそういう場であってほしいです」
東京で初めて議論した 沖縄の政治問題
元山「沖縄では親も学校の先生も、基地問題について話してくれなかった。学校で先生から話を聞いていたら、当時はピンとこなくても5年後10年後でも先生の言葉を指針にもっと考えられたと思うのです。僕は浪人時代、東京のICU専門予備校に行っていたのですが、そこで本を読んで学生同士で議論する機会があり、沖縄出身の僕がいるからと先生が沖縄のことを議題として取り上げてくれました。それまで同級生と沖縄の政治問題について議論する機会なんてなかったので、話していいんだと衝撃でした」
大岩「そういう風に学ぶことと社会を繋げたいです。ご飯を食べている時にでも、政治のことを家族で話し出来るような文化を作りたい」
元山「政治って、どこか自分と関係ないところで決まっているという感覚があったのですが自分で出来る事もあるんです。集会に行ったり、投票したり。これは法律で認められていて、デマを流したり、違法なことをしなければ堂々とやっていい事なんです」
大岩「確かにそうですね。仁士郎さん、ぜひデモクラシーの発信地としてこれからもがんばってください」
「辺野古」県民投票の会 代表 元山 仁士郎
https://henokokenmintohyo.okinawa/
大学受験予備校 グレイトヴォヤージュ
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