2009年首里に設立し16年、沖縄の小・中学生の学力向上に貢献してきた弘文館。今回は、沖縄カトリック学園におじゃましてお話を伺いました。
沖縄カトリック学園は、幼稚園から高校まで併設している一貫校で、「学力向上」と「人格形成」を両輪に、落ち着いた環境の中で学習に集中できる体制を整えています。きめ細かな指導体制と、生徒の努力を支える面倒見の良さにより、進路実績も大きく伸長しています。
今年度は上智大学・南山大学などのミッション系大学へ早期合格、昨年度は東京大学合格者も輩出するなど、着実に成果を挙げています。これらの実績は、日々のきめ細かい学習サポート、そして互いに学び合う温かな校風が結びついたものだと思います。静かで整った学習環境の中で、生徒たちは主体的に学び、 自らの志望に向かって努力する力を育んでいます。
今回は、早めに合格が決まった生徒さん達に受験や学校についてインタビューをしました。いろんな人の考え方やアプローチを経験しておくことがプラスになります。広いキャンバスに様々な可能性を描けるようにすることが大切です。

<取材協力>
沖縄カトリック学園
https://www.catholic-okinawa.ed.jp/junior-and-senior-highschool/

Q1 沖縄カトリック高校で良かったと

思うところは?

岡田  教員のサポート体制が特に良かったです。学年自体が少ないので、1人に対して手厚く指導していただけます。私たちの学年は約60人で2クラスです。高校1年生のときに「トビタテ!留学JAPAN」でスペインへのサッカー留学に挑戦した際も、教員の方がマンツーマンで指導してくださり、おかげで合格して留学に行くことができました。その後、アフリカの貧困や社会問題に関心を持ち、現地の子どもたちへサッカーボールを届けるというクラウドファンディングや2度目の留学にも挑戦できました。

茶谷 学校のサポートについて補足すると、私も国費留学と県費留学に合格しましたが、その際も学校で面接練習の対策や学科試験の勉強の対応など、複数回にわたって準備を行いました。受験にあたっても、毎週1回の面接練習を重ねたり、夏休みには毎日学校に登校して面接練習や志望理由書の添削にも取り組みました。このような1人1人に手厚い時間をかけてくれるところがカトリックの強みだと思います。また、国際色が豊かで毎年台湾からの留学生が来ますし、オーストラリアとの姉妹校があることから、オーストラリアからの留学生との交流も生まれています。

サントス 担任の手厚いサポートです。担任から積極的に「こういった行事やイベントに参加してみたらどうですか」という提案があったり、他の行事のパンフレットが掲示板に張り出されていたりします。また、教室の雰囲気も特徴的で、最近できた進学勉強クラブでは、みんなが集中して勉強する雰囲気があり、普通の教室とは違って自分も勉強する気になり、さらに上を目指せるようになりました

Q2 大学の­­志望理由と、 大学合格のために特に意識して取り組んだことは何ですか?

岡田 最初は海外に興味があり、海外サッカーが好きだというざっくりとした理由でしたが、上智大学にはアフリカ研究の専門家がいて、ローカルとグローバル双方の視点から学べるところに惹かれました。スペインへ留学した際にデータで見る状況と実際の様子が違うことを実感したので、両方の視点から学ぶことが必要だと考え実践型プログラムがある、上智大学を選びました。今はアフリカに関心があるので「アフリカに学ぶ」というプログラムで教授とともにアフリカに行くことを考えています。

茶谷 私は経営学、特に国際経営について学びたいという意思があり、国際性に富んだ大学で経営学に強い学科がある上智大学を志望しました。意識して取り組んだこととしては、英検の取得と評定平均の確保です。上智大学のカトリック推薦で受験したのですが、評定平均と英検の基準が高めに設定されているため、それを超えるために日頃から勉学に励みました。塾には特に通わず、学校の先生のサポートと自己学習で準備しました。英検に関しても、学校で面接練習もしていただき、準1級を取得できました。学校生活を一つ一つ丁寧に取り組んでいけば、合格できるのだと実感しています。

サントス 父親がソフトウェアエンジニアで、私は小さい頃から機械に携わりたいという意識がありました。高校1年から通訳のボランティアに参加しています。特に頑張ったことは、高校1年生のときに上智大学の英語弁論大会のファイナリストに出場したことです。また、沖縄が主催したエンカレッジ推進事業という、沖縄の学生が日本本州に行って中部や東北の大学や企業の人と話し、自分の意識を高める行事にも参加しました。今年の8月にはアメリカのモンタナ州に留学し、リーダーシップについて学び、州立大学を見学する機会もありました。エンカレッジ事業で初めて南山大学を訪れ、最初は「綺麗」というイメージだけでしたが、今年からしっかりと進学先を考え、そのときにもらった資料を読み返しました。南山大学の副専攻制度に惹かれました。これは2つの専攻を取ることができる制度で、私は通訳ソフトウェアを開発したいと考えています。

日常会話で言葉を調べる際、Google翻訳などのアプリでは物足りないと感じています。例えば、「好き」と「愛している」の違いのように、言語間で感情の温度差が異なると感じており、そういった違いを理解した通訳ソフトウェアを開発したいと思っています。南山大学の副専攻制度を活用して、データサイエンスとソフトウェア工学から学んだ知識でAIを活用し、自分の日常生活と感情を学習させて、より利用者に特化した通訳システムを作りたいと考えています。

Q3 合格の決め手となった沖縄カトリック高校ならではの学びの特徴は?

岡田 先生1人に対して見る生徒の数が少ないこともあって、面接資料や小論文の添削など本当に手厚く指導していただけたことが合格の決め手となりました。面接練習は週に1回あり、担任の先生や学年の先生が見てくれます。私の場合は志望学科に合わせて社会系の科目の先生にも見ていただいたので、週に3〜4回も面接練習をすることができました。授業が終わった後や夏休みに、メールで先生と予定を調整して練習しました。小論文に関しても書いたら、すぐに見ていただけました。

茶谷 英語の授業での学びが合格に繋がったと思います。この学校での英語の授業は座学だけでなく、ディスカッションなどを通じて自分の考えを英語で表現する機会が多くありました。そのため、他の人の考え方も知れますし、英語の能力も伸ばせるという点で英語検定の取得にも役立ちましたし、視野を広げる意味でも有益でした。また、国際性という点では、校内に外国人、ハーフの人がたくさんいるので、国によって異なる考え方を学ぶことができました。上智大学は国際性に富んでいるので、そういった国際的な教養を持っていることを面接でアピールできる考えを持つことができました。

サントス 私は8月にモンタナ留学に行っていたこともあり、二人よりもかなり遅く推薦入試を受けることを決めました。元々一般入試で南山大学を受験しようと思っていたのですが、先生から説得されて推薦入試に挑戦することにしました。夏休みの後半から志望理由書を書き始めたところ、自分が言いたいことがはっきり伝わっていない部分があり、毎日のように書き直して先生に相談しました。私の受けた入試はプレゼンテーション型で、大学で学びたいことや社会問題について発表するものでした。毎日のように目線や話し方、強弱などの指導を受けました。本当に先生の手厚い指導のおかげで合格できたと思います。

Q4 これから受験を迎える後輩たちに、学習面や

学校生活でのアドバイスを

お願いします

岡田 私の場合は、やりたいことに積極的に挑戦するようにしていました。「これをやってみたい」と思ったことをすぐに行動に移した結果、それが受験の武器にもなりました。もし何か挑戦してみたいけど躊躇していることがあれば、まずやってみることをお勧めします。ただし、最低限学校の勉強や評定はキープできる水準を保った上で、自分のやりたいことをやることが大切だと思います。

茶谷 私は他の人の力を借りるということをおすすめしたいです。学校の先生でもいいですし、塾を頼るということも一つの選択肢だと思います。現在は一般受験だけでなく総合型選抜の両方に対応した塾もありますので、自分の能力や得意分野を生かして受験するにあたって、塾を頼るというのも一つの選択肢だと思います。

サントス 私は人のアドバイスをしっかり聞くことが大事だと思います。自分の考えに当てはまらなくても、人の経験は貴重で新たな視点が生まれます。また、岡田さんが言ったように、自分が気になることや自分のためになることに参加することも大切です。

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