少し前に予備校時代の恩師である太庸吉(ふとりようきち)
師匠とは19歳のときに代々木ゼミナールの国公立医学部コースの 授業で出逢った。最初は内容が難しかったが、 慣れてくるうちに英語が好きになった。実力がついてきた。 東大英語や当時の慶應大文学部英語などにも挑戦した。
私は高校時代まで信頼できる先生と出逢えなかった。 予備校に入ってこの師匠が初めて信頼できる先生となった。 いろいろと勉強だけではなく人生の悩みを相談した。 親身になってこたえてくれた。
大学に入り、 この時に培った英語力のおかげで当時のTOEFLスコア550点 を超えたり、フィリピンに児童福祉の調査に行ったり、 30を越えて大学院に進んでも英語で困ることはなかった。 師匠とは年賀状で連絡を取り合っていた。時々、 電話をすることもあった。すでに予備校を出て30年。 不思議な繋がりである。
そんな師匠を慕う門下生の集まりである。そのほとんどが初対面。 31人の門下生が揃った。 同じ師匠に習ったつながりで初めてあったような感じがしなかった 。驚いたのは大学、学校、予備校、 塾といった教育関連の門下生が多かった。 師匠の血脈を受け継いでいる感じがした。教育関係の他には医師、 会社経営者、会社幹部、金融業、建築士など多彩な顔ぶれだった。
恩師はいろいろな予備校で教えておられたため座席も出身予備校別 に分けられた。同じ時期に習っていた仲間との語らい。 師匠に習っていたころの話や今の取り組みなどを語り合った。 師匠の歩み、その時々の思い、 これからの展開などを語ってくださった。
師匠もそれぞれの教え子のことを詳しく覚えておられた。 当時の印象を一人ひとりに語り掛けた。 そして師匠からのスピーチがった。
「人間には歴史がある。 ここにいる31人が3時間の集いで93時間の歴史ができる」
「人には歴史がある。だから、 人を大事にしなくてはいけないのだ」
と師匠はみんなに語られた。 師匠の教え子に対するスタンスをみた。
青春の多感な時、浪人生という不安定な時期に支えてくれた師匠。
予備校は受験技術を押し込む場だけではない。
このようにいい師匠と出逢えた私たちは本当に幸せだ。私も受験 業界の1人として師匠のようになりたいと思った。
(弘文館進学ゼミACT 塾長岡田崇)
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