Q「うちの子は漢字が苦手です。よい学習法はありますか?」
A「漢字辞典で成り立ちを調べ、ついでに併記されている熟語も三つほど書いて覚えましょう」漢字は何度か書いて記憶する、が一般的ですが、漢字嫌いな子はなかなか覚えてくれません。書く行為に意義を見出せないのですね。

物語を楽しもう
話は飛びますが、宛名の敬称に「様」と「殿」があります。どちらが使いやすいですか?おそらく多くは「様」と答えるでしょう。  様はもともと「そこら辺り」という意味です。古来、直接名前を呼びつけるのは失礼であり、ある程度の距離感をとって敬意を示しました。様は「そこら辺りにいらっしゃる方」と「方向」で距離をとり、対象者への敬意を表しています。
殿はもともと「身分の高い人が住む邸宅」を意味します。今でも豪華な家を「御殿」と呼びますよね。こちらは「住居」で距離をとり、敬意を表しています。様は「方向」を指すため少々大雑把ですが、広くて無難に使えます。殿は「住居」を指すので、様より範囲が狭められます。
何となく殿よりも様の方が使いやすいと感じる理由は、この「様の方が、広くて無難だ」という感覚が残っているからです。こういう物語は楽しくありませんか?

成り立ちで納得しよう
このように、漢字には物語、つまり「成り立ち」があり、漢字辞典にはそれが記されています。例えば「回」を引くと「水がうずまく様子をえがいた字。『まわる』という意味」と書かれています。物語がありますね。この納得を子どもと共有しつつ、回という字と意味を書き写しましょう。

熟語を調べよう
漢字辞典には、関連した熟語も並んでいます。先ほどの「回」だと、「回帰・回航・回収・回転・回覧…」など。その中から三~五つ選び、同じように書き写しましょう。熟語を調べると、他の漢字の成り立ちや意味も関連付けて理解できます。

オリジナルの 漢字辞典を作ろう  
自分で調べると頭に入っていきます。つまり覚えます。この漢字調べ学習は「五つの漢字を週二回」程度のペースでも、四~五ヶ月で学年の漢字をカバーできます。書き終えたノートは保管して何度も読み返しましょう。お手製の『漢字辞典』になるので愛着もわきますよ。  ところで「おとのさま」は「御殿様」と書き、敬意を示す言葉の集合体で、かなりの距離感です。土地の者にとっては畏れ多い存在だったのだろうなあ、という物語が浮かんできますね。

﨑山 潤(さきやま じゅん) 国語専科指導「総合国語塾」代表
対象 小4~社会人 科目 読解/作文/現代文/小論文/古文/漢文

総合国語塾
沖縄県宜野湾市佐真下153-19
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