津嘉山大綱曳きをテーマにしたオリジナル作品、「御願綱(ウガンヂナ)」でこの夏、全国高等学校総合文化祭へ出場。

島の鼓動を未来へ受け渡す 南風原高校「郷土芸能部」

南風原高校郷土芸能部は沖縄の芸能を「琉球舞踊」歌・三線などを受け持つ「地謡(じかた)」「エイサー」の3ユニットに分かれて稽古に励んでいます。7月後半にある全国大会、11月にある県大会に向けて主に活動しています。今回、7月の全国大会(高等学校総合文化祭)への出場が決まりました。今回は部活の魅力やオリジナル演目「ウガンヂナ」についてみさなんにお聞きしました。

Q 入部のきっかけを教えてください

﨑原 中学まではクラシックバレエの経験があり、指導を受けていた先生の影響で琉球舞踊に興味を持ち南風原高校へ入学しました。琉球舞踊は一つ一つの所作の意味や生活に基づいた動きがあるところに先人たちの生活を身近に感じられ興味深いです。
石垣 5才の頃から琉球舞踊を習っています。南風原高校は沖縄県で唯一郷土文化コースがあるので、授業として文化を学べます。3年間続けて基礎を学んで芸能に生かしたいと思い南風原高校を選びました。琉球舞踊コースに所属してます。部活は地謡を選択し、毎日2時間練習できるので上達も早いのが魅力です。

外間 学校では歌・三線コースに所属しています。中学2年生の時に南風原高校郷土芸能部が全国大会優勝のニュースをみて、親に勧められたのがきっかけです。名護が地元なのですが、自立もしたいと思っていたので南風原高校を選びました。家系が芸能一家で母親や祖父母が三線や箏の先生をしているので日常に芸能が身近にありました。

Q 琉球芸能の魅力は?

石垣 地謡がいないと踊り手は立てないし、踊り手がいないと地謡も成り立ちません。バックミュージックとして踊り手の感情や喜怒哀楽を表現でき、お客さんに伝えられる点が魅力です。楽器で言うと三線が主で、そこに箏が華やかさ、笛と胡弓はメロディ旋律でオーケストラのようにみんなで一つの音を作り上げる点も大きな魅力です。

Q 演目「御願綱(ウガンヂナ)」はどう生まれ、どこにこだわってますか。

﨑原 「ウガンヂナ」は、南風原町の伝統行事「津嘉山大綱曳き」を題材にしたオリジナル作品です。私たちが1年生だった時に仲間と先生が中心になってゼロから作りました。冒頭に祈りの場面、その後に綱を曳く場面、最後に厄払いとして綱を川に流す場面と流れを決め、振付・構成・衣装まで生徒主導で仕上げています。衣装には地元特産の琉球かすりを採用しました。実際の綱は使わず、隊列で曳き合う『エア綱』で迫力を出しているのが大きなポイントです。
石垣 津嘉山大綱曳きの特徴は綱を持ち帰らずに流すのも特徴です。厄を大綱にこめて最後に川に流すのも独特かもしれません。この作品にも反映しています。また、昨年津嘉山大綱曳きに参加することができたのもいい思い出です。練り歩きと大綱曳きへの参加は、暑さで大変でしたがいい思い出です。

Q 将来の目標は

﨑原 高校に入り琉球舞踊を習っていますが、前に赴任されていた先生の道場に通っています。沖縄県高校生郷土芸能コンテストの舞踊部門で一位を取ることができ、大学は沖縄県立芸術大学を目指しています。
外間 今年の三線部門ソロコンテストで1位を取ることができました。沖縄県立芸術大学へ進学して、沖縄の伝統芸能を繋いでいきたいと思っています。
石垣 二人と同じく沖縄県立芸術大学を目指しています。組踊研修生にも挑戦し、国立劇場で実演ができるようがんばります。教員免許と学芸員試験をクリアして実演家と沖縄芸能に関連する仕事を両方で頑張っていきたいです。

夏の夕暮れ時、校舎にはエイサーの太鼓と部員たちの掛け声が響く。

お話を伺ったのは
外間 凪琉さん3 年(部長)﨑原 裕絢さん3 年(副部長)石垣 正城さん3 年(副部長)

取材の合間に即興で地謡と琉舞の演舞を披露してくれました。

活動の様子は こちらのInstagramから