那覇国際高校茶道部は、第47回全国高等学校総合文化祭(以下総文祭)の茶道部門へ、読谷高校茶道部と共に沖縄県代表として派遣が決定
グローバル化が進む現代こそ400年余前から変わらない茶の心得を
茶道の心得「和敬清寂(わけいせいじゃく)」という言葉を知っていますか?その意味は、「和を以って互いに敬い、清らかでどんな時にも動じない心を持つこと」。日々の鍛錬の中で季節に応じた茶器やお菓子などを愉みながら日本文化を知り、日常に通じる所作や感性も磨くことができる茶道。茶の点て方、お菓子の食べ方、お茶の飲み方と全て決まりがあり、堅苦しく感じるかもしれませんが、作法を知ることで余裕が出来て純粋に愉しむことができるのです。その心は、様々なことに通じています。
那覇国際高校の茶道部は、20年近く続く歴史ある文化部。活動は週2回と少なく、生徒会や他の部活との兼部をする生徒が多い。しかし、1日は顧問であり沖縄県高等学校文化連盟茶華道専門部専門委員長でもある具志堅加奈先生に、もう1日は外部講師として社団法人茶道裏千家淡交会沖縄支部の屋宜美江先生による本格的な指導が受けられることもあり、部員の実力は確かなもの。今夏に鹿児島で開催される第47回全国高等学校総合文化祭(以下総文祭)の茶道部門へ、読谷高校茶道部と共に沖縄県代表として派遣されることが決定している。この日は、部員による立礼式(専用に作られたテーブルと椅子を使って茶を点てる様式)のお点前を見せていただいたあと、鹿児島派遣メンバーのうちの1人、大城こころさんと顧問の具志堅先生、外部講師の屋宜先生に話を伺った。
ー茶道の魅力とは?
大城 ほっとするところです。勉強に追われる毎日ですが、茶道は時間の流れがゆったりしていて癒やされます。茶器や掛け軸を見て感想を交わすことで、季節を感じたり、美しいものを吸収して感性が磨かれる気がします。今年は修学旅行で京都に行くのですが、京都といえば茶道の本場。お茶やお菓子のお店を見て回るのもすごく楽しみです。茶道というのは、お茶を点てたり飲んだりするだけではなくて、人としての基本的な部分に通じていて、屋宜先生が最初に教えてくれたのは挨拶の大切さでした。茶道では指の先まで神経を集中させた、ゆったりとした動作が求められるからか、家族からは姿勢がよくなったとか、所作が綺麗になったと言われます。
具志堅 お茶会では、亭主は50人ほどのお客様を前にお点前を披露することがあります。その場合、亭主一人で50人分のお茶を点てるのではなく、水屋と呼ばれる裏方でも同時進行でお茶を点てているのです。道具を清めたり、タイミングを見計らいながらお菓子やお茶をお客様に出すなど、お茶会では水屋でのオペレーションがとても重要です。私もまだまだ勉強中ですが、茶道はお点前だけでなく、水屋仕事ができるようになって一人前とも言われています。そういった奥の深さも魅力ですね。
屋宜 世界に誇れる日本文化であることです。グローバル化が進む現代だからこそ、他国の方に、日本の伝統文化をできるだけの深い造詣を持つことはとても大切だと感じています。留学生など、海外の方にお茶を振る舞う機会も度々ありますので、茶道について、お菓子の食べ方、お茶の飲み方など英語、日本語、イラストで解説したカードも用意しました。海外の方は自国の文化を誇りに思っている方が多いので、日本の伝統文化に対しても敬意を持って愉しんでいただけていると感じています。
小学校、中学校の部活でも増えている茶道部。お茶とお菓子に魅力を感じて軽い気持ちで足を踏み入れてみると、思った以上に愉しく、そして奥が深い。400年余前から変わらない茶の湯の心得は、めまぐるしく変化する現代で、ブレること無く生き抜くためにも、大切なものなのかもしれない。