文豪、三島由紀夫が「非常にわかりやすい文章は、実は苦心惨憺の末に長い時間をかけて作られている」と語った通り、作文を頑張っている子は、自分の頭に浮ぶイメージに最もふさわしい言葉を苦労しながら選定し、読み手にわかりやすいか否かを随時点検しながら文を作成しています。結果としてその子は説明上手になり、他人が書いた「説明文」も深く理解できるし、要点を伝えられるようになります。読解問題の正答率は当然上がり、記述問題は得点源です。作文力が高い子が読解問題にも強いのは必然的成果なんですね。  と、語ると「難しい話はいいから作文が上手になるにはどうすればいいか教えて!」と聞かれます(笑)。多くの方法がありますが、一番簡単に実践できるのは「書写(文章の書き写し)」ですね。教科書レベルの文ならば、語彙・文法・構成・表現・論理が細やかに整っており、作文上達に貢献します。が、実はそんな高尚なものでなくてもいいのです。学問に関係なく、子どもが興味のある本、夢中になっている本が一番有効です。好きな分野ほど吸収するので、あまり大人の理屈を押し付けないようにしましょう。ちなみに私は子どもの頃から野球好きで、誰に言われるまでもなく『プロ野球選手名鑑』を必死に書写していました。

このように夢中になれる書写対象物があればベストですが、特に何もない場合は子ども向けの『図鑑』や『小学生新聞』などもよいでしょう。分量、構成、語句も適切で作文力アップにつながります。  書写は、書き「写す」作業ですから、文字も丁寧に書きとらせます(ここ、かなり重要です)。飽きたり、苦痛になったりしないよう、毎日15分位を目安に取り組んでください。個人差はありますが、二ヶ月程度で作文力と読解力向上に効果が出てきますよ(※その他の作文力・読解力向上法は、拙著『これで国語がよく伸びる』に詳しく書いていますので、興味ある方は手に取ってください)。

﨑山 潤(さきやま じゅん) 国語専科指導「総合国語塾」代表
対象 小4~社会人 科目 読解/作文/現代文/小論文/古文/漢文

総合国語塾
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