第9回 やんばるの森に光る宝石!?魅惑のホルストアマビコヤスデ〜沖縄の海と山の推しメン紹介〜

秋といえばヤスデですね。気温が下がり涼しくなっていくこの季節、様々なヤスデたちが姿を現します。
ヤスデとはヤスデ綱Diplopodaに属する生き物の総称で、無数の脚を持ち、また体は多くの節(体節)に分かれています。ムカデに似ていますが、毒を注入する顎肢 (顎のように変化した脚)を持たないことや、体節ひとつから脚が基本2対(4本)ずつ生えていることなどで見分けられます。沖縄はヤスデのホットスポットで、個性的なヤスデがたくさん生息しています。今回はヤスデ好きな筆者がこの秋イチオシのヤスデである、ホルストアマビコヤスデ Riukiaria holstiiを紹介します。

ホルストアマビコヤスデは体長5センチほどの大型のヤスデで、沖縄島の北部〜中南部と本部半島に生息しています。北部と本部半島では一般的に体色がグレーですが、中南部では場所ごとに色が変わり、オレンジっぽい体色のものもいます。

ホルストアマビコヤスデ
Riukiaria holstii

本種の最大の特徴は何と言っても蛍光です。ブラックライトを当てると、体表の物質が紫外線を青色の光に変換するので青白く光り輝いて見えるのです。太陽の光がなくなり、さらに彼らが活発になっている夜の森をブラックライトだけで照らしながら歩いてみると、そこかしこが光り輝き、その美しさをより楽しむことができます。
また、沖縄島には他にも蛍光するヤスデがいます。オキナワアマビコヤスデ Riukiaria pugioniferaは6センチ超える沖縄島最大のヤスデで、やんばるの森に生息しています。タカクワヤスデの仲間Xystodesmus spp.はいずれも4センチ程度かそれ以下とやや小型ですが、ホルストに負けない強い蛍光を示します。タカクワカグヤヤスデParaspirobolus lucifugusは畑や公園で見られる外来種ですが、2センチほどの小さな体でかなり強く蛍光し、なんと自ら光を放つ「発光」もします。この秋、あなたもブラックライト片手にヤスデ探しをしてみませんか?

なんとホルストアマビコヤスデは場所によって色が違う!

オキナワアマビコヤスデ
Riukiaria pugionifera

タカクワヤスデの仲間
Xystodesmus sp.

タカクワカグヤヤスデ
Paraspirobolus lucifugus

仲間 信道なかま のぶゆき
沖縄生まれ沖縄育ち。好きな生き物は多足類(ムカデ、ヤスデ、ゲジなど)、昆虫、爬虫類など広く。専門はタマヤスデの分類。多趣味で、バイクいじり、古物収集、レコード鑑賞などが好き。琉球大学大学院農学研究科修了。修士(農学)

一般社団法人 キュリオス沖縄
沖縄県那覇市前島2-5-17 福琉産業ビル前島6階 TEL 080-9851-883

公式サイト:https://curiousokinawa.com/