第10回 カタツムリを探そう!〜沖縄の海と山の推しメン紹介〜

皆さんは冬に生き物を探したことはありますか?沖縄とはいえ、冬は気温が下がり暖かい時期に比べると生き物たちの姿も少なくなってしまいます。しかし、冬でも観察できる生き物たちは実は結構いるんです。今回はその中でもカタツムリに注目して、よく見かけるユニークな種たちを少し紹介していきます。探しに行くのは雨の後で森が湿っているような時がベストですが、乾いている時でも木の葉の上、木の幹、石の上などそれぞれの種がいる環境をよく探せば見つかります。

シュリマイマイは沖縄島全域の林内で観察できるカタツムリです。見た目はいわゆる「普通のカタツムリ」ですが、沖縄島の在来カタツムリでは最大で、殻の直径が4センチに達します。見つけたら思わず手に取っちゃう大きさです。殻は茶色〜こげ茶色で、黒い帯模様が側面に一本入る事が多いです。よく似た見た目で少し小さいミヤコマイマイという種もいます。

アオミオカタニシは緑色をした非常に綺麗なカタツムリで、蓋を持っていたり、眼が触覚の付け根にあったりと、マイマイよりも水の中で暮らすタニシに近い見た目をしています。沖縄島全域で見られ、昼夜問わず林内の樹上で活動する姿をよく見かけます。実は殻自体は半透明で、緑色の中身が透けて見えています。偏食家で、すす病という病気に感染した樹木の葉に生えるカビを食べるようです。ちなみに、ブラックライトで蛍光します。

シュリマイマイ

アオミオカタニシ

スジイリオキナワギセルは細長い形をした変わった形のカタツムリで、沖縄島の固有種です。昔のタバコを吸う道具である煙管(きせる)に形が似ていることからこの名がついていますが、チョココロネみたいな形と言ったほうが分かりやすいかもしれません。沖縄島北部の林内で木の幹に付いている姿をよく見かけます。ちなみに、殻が重くて持ち上げられないのでどの方向に移動をするときも殻だけ常に下を向いていることが多いです。キセルガイの仲間を見たら、ぜひ巻きの方向を確認してみてください。多くの巻き貝は、殻の頂上から下にむかって右回りに巻いていく「右巻き」なのですが、キセルガイの仲間はそのほとんどが左巻きなのです。

シュリケマイマイは形が薄っぺらい上に殻の縁に毛が生えるというとても奇妙な形をしています。殻自体も薄く、殻の模様のように見えるものは実は透けて見えている中身です。林内の石灰岩に生える地衣類を食べて生きており、必ずといっていいほど岩の上で見つかります。こちらも沖縄島の固有種です。

今回は観察しやすい4種に絞って紹介しましたが、沖縄島にはまだまだたくさんの素敵なカタツムリたちがいます。また、彼らは海を超えて移動したりすることができないので、島ごとに進化を遂げ、それぞれの島で固有種となっている場合が多く、沖縄島でも多くの固有種のカタツムリが生息しています。普段あまり気に留めない存在かもしれないですが、じっくり観察しているとそれぞれの形や動きに個性があって見ていて飽きません。皆さんも是非、まずはお庭や近所の公園でカタツムリを観察してみませんか?「もっと他のカタツムリも知りたい!」という方は、是非キュリオス沖縄のブログやSNSをご覧ください!

スジイリオキナワギセル

シュリケマイマイ

仲間 信道なかま のぶゆき
沖縄生まれ沖縄育ち。好きな生き物は多足類(ムカデ、ヤスデ、ゲジなど)、昆虫、爬虫類など広く。専門はタマヤスデの分類。多趣味で、バイクいじり、古物収集、レコード鑑賞などが好き。琉球大学大学院農学研究科修了。修士(農学)

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