一 はじめに

中学時代から「マーフィーの成功法則」は数多く読んでいる。マーフィーは、潜在意識に、自分の成功イメージを与え「自己暗示」にかければ、自分のイメージ通りに「成功」すると、説いた(図1)。「思考が現実化する」ことは、身をもって体験してきた。私にとってのマーフィーは、第1に、石川中学時代(現在のうるま市)に「第1回松平杯(バレーボール大会)」で、沖縄県大会で優勝したとき、第2に、大学でバレーボールに打ち込み、同級生たちが、沖縄銀行に入社して「全国大会13連覇」という偉業をなしとげたとき、第3に、大学院に進学し「現在の職」に就職できたとき、など、すべて、私の成功体験に、大きな影響を与えている。

二 甘味処「万丸」(那覇市)から学ぶ教育論
  https://manmarunaha.wixsite.com/naha

  最近、知人の紹介で「万丸」さんとご縁ができた。エントランスには、ビジネス書や、自己実現に関する本や、絵本や親鸞聖人の本など、興味深い本が数多く並ぶ。
「万丸」では、プラス思考の「思考の方法」や、潜在意識をプラスにもっていく具体的な方法などが研究され、そして、実践されている。仏教で言う座禅や、シリコンバレーの経営者が行う「マインドフルネス」に近い方法と思っている。

潜在意識は、「主語がなく」、「喜怒哀楽に基づく感情によるジャッジ」を嫌う。
「ジャッジ」は、主語を外して、自分の潜在意識に、毎日毎日、書き加えられている。悪口を言えば、悪口は、主語をはずして、悪口だけが自らの潜在意識に書き込まれていく。数多くの人々は、その事を知らず、数多くの人々に対して、毎日毎日、批判を繰り返している。
換言すれば、「自分や他人を裁く(ジャッジする)」と、それが、潜在意識というコップの内部に蓄積され、それがあふれ出てくる。そのとき、潜在意識という思考が現実化され、逆に、相手から批判を受けるなど、思いがけない悪いことが自らの身におこるのである。
潜在意識には、主語がない。「あいつはダメだ」とジャッジすると、「あいつは」という主語が抜け落ちて、潜在意識には、「ダメだ」という言葉だけが、毎日毎日、書き加えられていく。
したがって、悪い現実を回避するためには、相手には「ジャッジ」をしない、そして、自分に対しては、ほめてあげる「自己肯定感を高める」ということが大切になってくる。

三 ジャッジをしない、裁かない、ことの大切さ

「私ってやっぱりダメな人間なんだ!」「あの人の服の趣味って悪くない?」など、私たちは、朝から晩まで、自分や他人を非難したり、「ジャッジ」している。裁いている。
裁く、というと、弁護士を連想する人も多いと思う。しかしながら、私の知る限り、水俣病、ハンセン病、川辺川訴訟など、国を相手に闘ってきた弁護士板井優先生(首里高校卒業の先輩)も、私に、相手を批判するな、裁くな、と説いた。弁護士から相手を裁くな、と、諭されることは、人生のなかでも想定外の大事件であった。そのうえさらに、優先生のお姉さんからは、『裁かない』という本まで、紹介された(図2)。とにかく、驚いた。
詳細は、板井優先生の追悼本『千人の一歩』のなかで詳しくふれた。そして、その言葉の深さは、今回、「万丸」さんのオーナー、スタッフ、そして、店長さんたちから学ぶことになった。
私の人生にとって、「ジャッジをしない」「裁かない」というその言葉の意義は深く、そして、その意味は大きい。

儀間 敏彦(ぎま としひこ)
東海大学 教授 湘南キャンパス教育開発研究センター所属 那覇市出身