左から、佐久本和奏さん(1年)、部長 石原聖良さん(3年)、副部長 大城あられさん(3年)、大城亮太さん(1年)

ジュクタンの部活紹介シリーズ第二弾。今回紹介するのは沖縄県立開邦高等学校の天文部です。高校1年の夏から2年間、部員2人で活動してきた天文部。コロナ禍もあり、なかなか活動が出来ないため部員が集まらず廃部寸前かと言われていた天文部ですが、インスタなどでの地道な活動により、この春一気に12名の部員を確保し存続の危機から脱出。そんな天文部を開邦祭の当日に訪問し、部員の皆さんに話を伺いました。ジュクタン読者の皆さんは、夜空を見上げるのは好きですか?

ー天文部は普段どのような活動をしていますか。

石原 天文部の活動は不定期で、流星群や天文現象がある時にインスタで紹介したりしています。もっと天体観測もしたいのですが、開邦では部活動は19時までと決められているのでなかなか叶わず…。合宿も出来なかったので、メインの活動は今日の開邦祭です。昨年は2人しかいなかったのとコロナ禍で換気の問題があったため、展示のみでしたが、今年は自作の星座イラスト展示の他、ずっとやりたかった手作りドームのプラネタリウムが実現しました。設計図は顧問の先生が見つけてきてくれたので、部員みんなでダンボールでドームを作成。家庭用プラネタリウムで星空を映し出して、星座の解説をしました。

ーみなさんの入部のきっかけを教えたください。

石原 中3の時にコロナ禍が始まって、学校に行けなくなった時期、よく夜にベランダから星を見ていたんです。星は昔から好きだったので、開邦高校に入ったら天文部に入ろうとその頃から決めていました。でも入部してみたら私以外に部員は3年生しかいなかったため、すぐに私一人になってしまって…。

大城(あ) それで最初、私は人数合わせのために入部しました。もともと競技かるた部と、社会科学研究部を兼部していたので、定期的な活動のない天文部は都合が良かったのです。それ以来、ずっと2人きりでしたが、やっていくうちに天文部がどんどん楽しくなってきて。更に、今年4月に12人入部してくれて部活らしくなって嬉しいです。

大城(亮) 僕は、バドミントン部にも所属しているのですが、空き時間を有意義なことに使いたいと思い、星が好きなので天文部に入りました。部員が少なくて困っているように感じたのもあります。

佐久本 私は小4の時にギリシャ神話を知ってから、星に興味がありました。中学から開邦でしたが、中学の天文部は科学部と統合していたので、高校になって天文部にやっと入ることが出来ました。インスタはずっと見ていたので不安なく飛び込んでいけました。

ー星の魅力は?また天文部の活動が学びに与えた影響は?

大城(亮) 宇宙には地球の生命体以上の数の星があります。観察していると赤い星、青白い星、小さい星、大きい星と様々な種類の星をみつけることができて、知れば知るほど面白いと思うようになりました。星と人間は何か共通するものがあるようで興味深いです。

佐久本 星の神話は、はるか昔の人々が紡いできた物語。昔の人達と同じ星を見ていたと思うと、感性が刺激され創作意欲が掻き立てられます。あと、単純に人生において知識は豊富になればなるほど楽しいですね。人と雑談していても、知識が豊富な方が話題が広がります。

大城(あ) 私は天文部に入るまで、星空を眺めても「ただ点がいっぱいあるな」という認識でした。でもアプリなどで勉強していくうちに、点(星)と点(星)が繋がって、夜空に星座が浮かび上がって見えた時、ものの見え方が変わりました。勉強して知識が増える事の楽しさに気づけた気がします。

石原 星座の勉強は、ハードルが高いと思っていました。でも、テキストで勉強するよりも、実際に星空を見上げて北極星を見つけることができれば北斗七星がみつかるし、北斗七星から他の星も見つけることが出来る。また、星が見えるところまで行くのが難しければプラネタリウムに行けばいい。ひとつのやり方に固執しないで、別のルートを探すことも大切だと気づくことが出来ました。

3年生の2人が天文部で一番印象に残っているのは、昨年の皆既月食。天王星食も同時に起こるレアな天体現象だが、部活が出来る時間は過ぎてしまうため、保護者立ち会いのもと正門前で観測したそうです。貴重な天体現象をリアルタイムで見られたという出来事も感動的でしたが、2人が何より嬉しかったのは、通りかかりの方からのにこやかな声掛けがあったこと。コロナ禍でなかなか人との繋がりが感じられなかったこの時期に、地域の方に見守られながら学校生活を送れているのだと感じられたと言います。2人はこの開邦祭が終われば引退。これから受験勉強に専念することになりますが、天文部で培った広い視野で未来に飛び込んで欲しいですね。

手描きの星座イラスト(右)と、顧問の先生が撮影した貴重な天体写真(左)も展示しました。

自作ドームのプラネタリウム(右)で見られた実際の星空(左)。時折流れ星も流れていました。

天文部の活動の様子は こちらのInstagramから