『第88回日本心理学会全国大会』から読み解くもの@儀間研究室 / 儀間 敏彦(東海大学 教授)
Ⅰ.はじめに 今年9月上旬に、熊本城ホールで、第88回日本心理学会全国大会が開催された。日本心理学会は、1927年(昭和2年)に創立された歴史ある学会の一つである。知り合いの研究仲間も熊本にやって旧交を温めた。3日間にわたって開催された大会プログラムは実に多彩で、約2700人が参加する大きな会議であった。 図1.日本心理学会ホームページ https://psych.or.jp/ Ⅱ. [...]
Ⅰ.はじめに 今年9月上旬に、熊本城ホールで、第88回日本心理学会全国大会が開催された。日本心理学会は、1927年(昭和2年)に創立された歴史ある学会の一つである。知り合いの研究仲間も熊本にやって旧交を温めた。3日間にわたって開催された大会プログラムは実に多彩で、約2700人が参加する大きな会議であった。 図1.日本心理学会ホームページ https://psych.or.jp/ Ⅱ. [...]
Ⅰ.はじめに 「ぼろは着てても こころの錦。」この歌が流行っているころ、沖縄県バレーボール協会は、みんなで日本一を目指していた。その結果、沖縄銀行男子バレー部は、全国制覇13連覇という偉業を成し遂げた。あの成功体験は私に勇気と希望を与えた。 私は「人のやれない ことをやれ~」とばかりに大学院に入学した。私の目標は、大学教員になること。それを両親に伝えても、誰に言って笑われた。しかし、他人は関係な [...]
Ⅰ.社会的課題の問題解決の糸口〜絵本出版の意味。 はじめて、絵本の脚本を書いた。絵本と言うと、子どもたちを対象としていると思われがちだが、大人が読んでも、大丈夫な脚本を心がけて執筆した。そしたら驚いた。本書が、絵本・児童書ランキング1位、絵本部門1位、読み物部門1位、と、3冠を達成することになった。大変な成果となった。 絵本は、読み聞かせという作業によって、大人から子供まで、対象領域として年齢層 [...]
一 慈悲の心 図1に示された壁画の文字が読めるだろうか? これは「大悲」と書いてあり、その意味は、仏の「慈悲の心」を示す。「大悲」「慈悲の心」を辞書で調べると、仏や菩薩が人々や生命あるものの苦しみや苦悩を除きそこから救い、楽、幸福を与える心くばりを指す。そうであるなら、慈悲をやさしく言うと、親切な心、やさしい心、あたたかな心となる。 少し古い言い方ですと「なさけ」「なさけ深いこと」と言える。 [...]
一 はじめに 中学時代から「マーフィーの成功法則」は数多く読んでいる。マーフィーは、潜在意識に、自分の成功イメージを与え「自己暗示」にかければ、自分のイメージ通りに「成功」すると、説いた(図1)。「思考が現実化する」ことは、身をもって体験してきた。私にとってのマーフィーは、第1に、石川中学時代(現在のうるま市)に「第1回松平杯(バレーボール大会)」で、沖縄県大会で優勝したとき、第2に、大学でバレ [...]
一 はじめに 「威張らない」「人を責めない」そして「(問題解決のための)努力は怠らない」という3つの心は琉球の精神文化である。又吉(又吉正治『琉球文化の精神分析①――霊魂とユタの世界』月刊沖縄社、1987年)は、これを祖先崇拝「御願(ウグヮン)」の行動様式で説明した。 たとえば、又吉は夫の浮気を解決した妻の行動を紹介する。夫の行動(浮気)が発覚したとき、妻は夫の霊魂(マブイ)もしくは無意識(シニ [...]
内閣府は、日本を含めた7か国の満13歳~29歳の若者を対象とした意識調査を行った。残念なことに、日本の若者は、諸外国と比べて、「自己肯定感(self-esteem)」が低いばかりか(図1)、意欲もなく、毎日を憂鬱と感じ、将来に対して明るい希望をもっていない、ことがわかった。 図1 自己肯定感の低さ「自分自身に満足しているか」 総務省 今を生きる若者の意識調査(国際比較)、2023年 [...]
一 はじめに 「いじめ」の構造 文部科学省は、令和4年、「いじめの状況および文部科学省の取組について」の調査結果を公開した。いじめの認知件数は、615,351件(前年度 517,63件)であり、前年度に比べ98,188件(19・0%)増加と、前年度より9万 8,188件(19・0%)増加し、過去最高となった。 私の問題意識はここにある。私は、仕事柄、経営学や経済学など、大学で専門科目を修めている [...]